「奈良・ならまち探訪その1」まずは南都七大寺のひとつ「元興寺」へ

2015年11月12日

「奈良・ならまち探訪その1」まずは南都七大寺のひとつ「元興寺」へ

「奈良・ならまち探訪その1」まずは南都七大寺のひとつ「元興寺」へ

猿沢池の南側に広がる「ならまち」は、町家を改装したお洒落な店が数多くある女性に人気のエリアです。そしてならまちを語る上で外せないのが、南都七大寺のひとつ「元興寺」なのです。

古き良き奈良を感じられる「ならまち」

奈良市中心部の猿沢池の南側かつ、新薬師寺や白毫寺のある高畑の西側の一帯、そこが通称「ならまち」と呼ばれるエリアです(奈良町という行政地名はなく、あくまでも通称です)。そこには江戸時代の末から明治時代にかけての格子造りの町家(町人の住む店舗併設の都市型住宅。商家)が軒を連ね、昔懐かしいノスタルジックな香りが漂います。最近では町家を改装したお洒落なレストランやカフェ、ショップなどが増えてきているため、懐かしさとともに“やすらぎ”や“うるおい”を感じさせてくれる女性に人気の街となっています。

由緒正しい南都七大寺のひとつ「元興寺」

この「ならまち」を語る上で外せないのが「元興寺(がんごうじ)」です。なぜなら現在のならまちのほぼ全域が、元興寺の旧境内にあたるからです。今もならまちの中心部に立つ元興寺は、6世紀末から7世紀初頭にかけて蘇我馬子(そがのうまこ)が飛鳥に建立した、日本最古の本格的仏教寺院である「法興寺(ほうこうじ:現在の飛鳥寺)」が前身となっています。平城京遷都に伴って718年(養老2年)にこの地へ移転されました。奈良時代においては東大寺、興福寺と並ぶ大寺院で、約96000平方メートル(約29000坪)の敷地面積を誇る「南都七大寺(*注1)」のひとつでもありました。

*注1:「南都七大寺(なんとしちだいじ)」
奈良時代に平城京およびその周辺に存在し、朝廷の保護を受けた7つの大寺を指します。7つの大寺とは東大寺、興福寺、西大寺、薬師寺、元興寺、大安寺、法隆寺(唐招提寺とする場合もあり)で、国家鎮護、万民安楽、疫病平癒の祈願と仏教の教義を大勢の僧が学んでいました。

平安時代の中頃から元興寺の勢力は衰え始め、1451年(宝徳3年)におこった土一揆のあおりで主要堂宇は炎上、焼け跡に民家が進出してきて街となり、元興寺は「極楽院」「観音堂」「小塔院」の3つに分裂します。極楽院は明治以降、「お化け寺」と呼ばれるほど荒れ果て、寂れるほどに宅地化が進み、今のならまちが形成されていきます。戦後になって境内の整備や建物が修理され、極楽院は1955年(昭和30年)に「元興寺極楽坊」と改称、さらに1977年(昭和52年)に「元興寺」と改称されて現在に至ります。今は往時の大寺の面影はありませんが、由緒ある名刹として「世界遺産・古都奈良の文化財」に登録されています。ならまちへ行ったら、まずは元興寺を訪ねてみてください。

国宝の「本堂」には日本最古の瓦が!

それでは元興寺の見どころをいくつかご紹介しましょう。まずは国宝の「本堂」です。「極楽堂本堂」または「極楽堂」とも呼ばれます。寄棟造りの瓦葺きで、鎌倉時代初期の1244年(寛元2年)に旧僧坊の東端部分を改造して阿弥陀堂形式のお堂となりました。角柱や天井板に使われている部材は奈良時代のものがそのまま利用されていて、屋根瓦の一部には飛鳥~奈良時代の古い瓦が使われています。ところどころに残る茶色い瓦は、飛鳥から運ばれてきた日本最古の瓦なんですって!

同じく国宝の「禅室」には世界最古の部材が!

本堂と並んで建つ切妻造りで瓦葺きの「禅室」も国宝に指定されています。もともとはひと続きだった僧坊を、鎌倉時代に本堂と禅室に分けて独立させたんですね。本堂と同じく、使われている部材や屋根瓦の一部には奈良時代のものが残っています。さらにさらに!2010年(平成22年)8月に年輪年代測定法で調査した禅室の部材の中から、複数の柱の上部に水平方向に渡した頭貫(かしらぬき)に飛鳥時代初期の586年頃に伐採された檜(ヒノキ)が使われていることが判明しました。これはなんと“世界最古の現役木製建築部材”だそうです。まさに日本の木の文化を象徴する建物ですね。

“建造物”として国宝に指定される「五重小塔」

収蔵庫に安置されている「五重小塔」は、奈良時代に造られた高さ5.5mほどの小さな五重塔です。小さいながらも内部構造に至るまでの全てが屋外に建てる塔と同様に造られており、その精密さから“工芸品”ではなく“建造物”として国宝に指定されています。製造当初から屋内に安置されていたため保存状態が非常に良く、奈良時代の建築様式を明確に現代へと伝えてくれる貴重な資料です。ちなみに収蔵庫には他にも、「智光曼荼羅図(ちこうまんだらず:平安時代の板絵・重要文化財・特定期間のみ公開)」「阿弥陀如来坐像(平安時代・重要文化財)」「聖徳太子立像(鎌倉時代・重要文化財)」「弘法大師坐像(鎌倉時代・重要文化財)」などが安置されています。

元興寺への交通アクセス等

■ 所在地:奈良市中院町11

■ 交通アクセス:
◇ JR奈良駅より徒歩約20分 近鉄奈良駅から徒歩約15分
◇ JR・近鉄奈良駅から奈良交通バス「天理(憩の家外来棟)行」「下山行」などにて、「福智院町バス停」(JR奈良駅より約10分・近鉄奈良駅より約6分)下車、徒歩約5分
◇ JR・近鉄奈良駅から奈良交通バス「市内循環バス外回り」もしくは「市内循環バス内回り」にて、田中町バス停」(JR奈良駅より外回りで約17分・内回りで約8分/近鉄奈良駅から外回り・内回りとも約13分)下車、徒歩約5分

■ 拝観時間:
◇ 午前9:00~午後5:00(入門は午後4:30まで)

■ 拝観料金:
◇ 一般500円 /中・高校生300円 /小学生100円



※ご紹介している情報は記事執筆日現在のものです。施設の詳細やバスの運行サービスなどは変更になる場合があります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

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