「奈良天理・長岳寺」夏はそうめん、冬はにゅうめんが味わえる“花の寺”

2016年04月18日

「奈良天理・長岳寺」夏はそうめん、冬はにゅうめんが味わえる“花の寺”

「奈良天理・長岳寺」夏はそうめん、冬はにゅうめんが味わえる“花の寺”

平安時代に弘法大師・空海が創建したという天理市の「長岳寺」は約1000株のツツジを始めとする美しき花の寺であり、重文の建物の中で三輪そうめんがいただける素敵なお寺です。

広大な境内を誇る弘法大師創建の古刹です

日本最古の道といわれる「山の辺の道」の中でも、天理~桜井までの約15kmは人気のハイキングコースとなっています。そのほぼ中間点に位置するのが、平安時代の824年(天長元年)に創建された古刹の「長岳寺(ちょうがくじ)」です。創建者は弘法大師・空海で、第53代淳和天皇(在位:823年~833年)の勅願により、長岳寺近くに立つ大和神社(おおやまとじんじゃ)の神宮寺(*注1)として建立されました。最盛期には48の塔頭が建ち並び、寺院に居住して学問・修行の他に寺内の運営実務にあたった僧侶身分の衆徒数は300名を超えていたそうです。1467年(応仁元年)~1477年(文明9年)の応仁の乱や、1502年(文亀3年)の兵乱などによって伽藍は炎上し、衰退しましたが、今も約1万2000坪の広大な境内にその名残を見ることができます。

*注1:「神宮寺(じんぐうじ)」
日本の神仏習合思想(古神道信仰と仏教信仰が入り混じり、ひとつの信仰体系として再構成された宗教思想)に基づき、神社に附属して建てられた仏教寺院や仏堂のこと。

重要文化財の「庫裏」で味わう「三輪そうめん」

入口の「大門」は1640年(寛永17年)に再建されたもので、そこをくぐり参道を進むと、左手にあるのが桃山風の優美な建物であり重要文化財の「旧地蔵院本堂および庫裏」です。「庫裏(くり)」とは寺院の台所にあたる建物のことなのですが、なんとここで地元特産の「三輪そうめん」がいただけます。1630年~1631年に建てられた重要文化財の中で、5月~9月頃は冷たいそうめん、寒い時期には温かいにゅうめんが700円で味わえるのです。巷に古民家風の食事処は数々あれど、こちらは本物中の本物ですから、必ず立ち寄りたいですね。

庫裏から再び参道を進めば、かつて上層部に鐘楼が吊られていたことから「鐘楼門」と呼ばれる鐘門があります。下層部は室町~安土桃山時代に、上層部は平安時代に建てられた日本最古の鐘門で、もちろんこちらも重要文化財に指定されています。

1783年(天明3年)に再建された「本堂」に安置されるご本尊は、中尊の阿弥陀如来および両脇侍の観世音菩薩、勢至菩薩の「阿弥陀三尊像(重要文化財)」です。こちらは平安時代末期の1151年(仁平元年)の作で、眼の部分に水晶を嵌めこんだ「玉眼」の技法を用いた仏像では日本最古のものとして有名です。明治維新の廃仏毀釈運動によって廃絶した大御輪寺から移された「多聞天立像」「増長天立像」も安置され、こちらも重要文化財です。

四季折々に美しい“花の寺”としても有名です

1万2000坪にわたる広大な境内には四季折々に美しい花々が咲き、長岳寺は“花の寺”としても知られています。特に4月上旬から~5月上旬に咲き誇る約1000株のヒラドツツジは圧巻で、参道に隙間なく連なり、本堂を飾り立て、本堂前の放生池を縁取ります。もちろん桜もありますし、5月中旬から下旬にかけては杜若(カキツバタ)、その後は紫陽花(アジサイ)が咲き、9月中旬~10月下旬は酔芙蓉(スイフヨウ)の季節です。酔芙蓉は朝に純白であった花びらが、午後になると淡く色を差し始め、夜にはお酒を飲んだように紅色となる艶っぽい花です。

モミジやカエデが鮮やかな紅葉の景色を創り上げる秋も美しく、鎌倉時代に書かれた仏教説話集の『沙石集(しゃせきしゅう)』にも、「かまのくち こがれてみうる もみじかな」と詠まれています(「かまのくち」とは長岳寺の山号)。

数々の重要文化財を拝見しながら三輪そうめんを味わい、美しい花々を愛でる。長岳寺は「日本人で良かったな~」と心から思える素敵なお寺です。

長岳寺への交通アクセス等

■ 所在地:奈良県天理市柳本町508

■ 交通アクセス:
◇ JR・近鉄天理駅から奈良交通バス「桜井駅北口行」にて「上長岡(かみなんか)バス停」(約14分/運賃370円)下車、徒歩 約7分
◇ JR・近鉄桜井駅北口から奈良交通バス「天理駅行」にて「上長岡(かみなんか)バス停」(約15分/運賃380円)下車、徒歩 約7分
◇ JR桜井線「柳本駅」下車、東へ徒歩 約20分

■ 拝観時間:9:00〜17:00(年中無休)

■ 拝観料金:一般350円/高校生・大学生/300円/中学生250円/小学生200円



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