【都営バスの歩み:近年~現代編】 車両の冷暖房化と低床化

2017年01月27日

【都営バスの歩み:近年~現代編】 車両の冷暖房化と低床化

【都営バスの歩み:近年~現代編】 車両の冷暖房化と低床化

“バス離れ”が進んでいった1970年代以降、都営バスは現在では当たり前となった「車両の冷暖房化」と「車両の底床化」というバスサービスの改善に取り組んでいきました。

バスに冷暖房がついていなかった時代

高度経済成長期を経て人々の所得水準は上がり、自家用車の保有数が増加して交通渋滞は慢性化、それにともなって“バス離れ”が進みました。これを防ぐためには定時性の確保とともに、バスサービスの改善も必要となりました。そこで取り入れられたのが「車両の冷暖房化」と「車両の底床化」です。今では考えにくいことですが、1970年代頃までのバス車両は乗客を詰め込むために座席は電車のようなロングシートの三方シートで、冷房はもちろん暖房の設備もありませんでした。さらに都内においても未舗装の道が残っており、床下を低くするのは物理的にも技術的にも困難だったのです。

1979年から冷暖房車の運用開始

人々のバス離れが進んでいった1970年代は、一般家庭にクーラーが普及し始めた時代でもありました。鉄道にも冷房車が登場し始めたことから、東京都営バス(都バス)は1971年(昭和46年)度に8台の冷房車を試作します。そして1979年(昭和54年)度、ついに深川・練馬・葛西・早稲田の4営業所において冷暖房車の運用が開始されました。1980年(昭和55年)度には1営業所につき2台ではあったものの全営業所に冷暖房車が投入され、それ以降の新車はすべて冷暖房車となり、1990年(平成2年)度にようやく全車の冷暖房化が完了となりました。

当時の標準は乗り降りの辛い「ツーステップバス」

前述の通り、1970年代頃までは都内にも未舗装のデコボコ道が残っていましたし、当時の車両の製造技術においてもエンジンや変速機、サスペンションなどがある床下を低くするのは困難でした。そのため床面の高さは900mm以上あって乗降のための階段(ステップ)が2段ある「ツーステップバス」が標準だったのですが、やはりこれは高齢者や身障者にとって辛いものがありました。そこで都バスは床面の高さを50~60mm下げるとともに、ステップの奥行きを100~200mm広げた低床車を導入します。それでも現在の低床車に比べれば、まだまだ床面は高いものでした。

1991年に「都市型超低床バス」を導入

1988年(昭和63年)1月、東京都は高齢者や身障者などの“交通弱者”に配慮した「福祉のまちづくり整備指針」を制定します。都バスも利用者の乗降時の安全を守るため、都内の道路整備も良好となった1980年代後半に超低床車の仕様をまとめ、国内バスメーカー4社(いすゞ・日野・三菱ふそう・日産ディーゼル)に要請します。その仕様には「床面地上高を現行の850mmからヨーロッパ並みの550mmに下げ、ツーステップをワンステップにする」「床面高を下げることでスロープ板を利用しての車椅子の乗車を可能にする」「車内の乗客に対してバスの走行位置が容易に分かる装置を設置する」の3点が挙げられました。

1991年(平成3年)に各メーカーはワンステップ超低床車の「都市型超低床バス」を2台ずつ試作しました。これらを路線に投入すると概ね高い評価を得ることができたため、その後に「リフト付き超低床車」や、ワンステップバスをベースにしてステップを2段に変更し、段差を低くした「らくらくステップバス」などを導入します。らくらくステップバスは1998年(平成10年)までに156台が導入されましたが、それ以降は現在のような「ノンステップバス」が主流となっていくのです。