【高速バスの安全対策】異常走行訓練と専用訓練車両の活用

2017年08月09日

【高速バスの安全対策】異常走行訓練と専用訓練車両の活用

【高速バスの安全対策】異常走行訓練と専用訓練車両の活用

安全運行に真摯に取り組むバス事業者は、運行中に起こりうる様々なアクシデントにも冷静な対処ができるよう、運転手に対して異常走行訓練や専用訓練車両による教育と指導を行っています。

プロの運転手ならどんな事態にも対処しなければ

高速バスは長距離を長時間に渡って走り続けますから、運行中に様々なアクシデントに遭遇する可能性があります。大雨や大雪に見舞われれば車両が横滑りしたり、ハイドロプレーニング現象(*注1)が起きてしまったりすることが考えられますし、事故車両や落下物を避けるために高速走行から急ブレーキをかけたり、急ハンドルで回避しなければならない場面も十分にあり得ます。車を運転する方ならお分かりかと思いますが、このような突発的事態は非常に危険で、慌てふためいて冷静な対処ができず、重大な事故となってしまう危険性があります。そこで安全運行に真摯に取り組むバス事業者は、運転手に異常走行の体験をさせて、安全運転のプロフェッショナルとしての知識と技能を身につけさせています。

*注1:「ハイドロプレーニング現象」
水の溜まった路面などを走行中に、タイヤと路面の間に水が入り込むことで自動車が水の上を滑るようになり、その結果ハンドルやブレーキが利かなくなる現象のこと。

異常走行訓練を受けられる「安全運転中央研修所」

ただし、いくら安全運行のためであっても、一般公道で異常走行訓練をすることは道路交通法で禁じられています。そこで利用されているのが、警察庁所管の自動車安全運転センター(茨城県ひたちなか市)にある「安全運転中央研修所」です。ここには1周約5kmの高速周回路を始めとして、中低速周回路、1周350m以上のスキッドコース(凍結あるいは雨などで滑りやすい路面を人工的に再現した試験路)、全長150mにもおよぶハイドロコース、模擬市街地など多岐にわたる設備があり、これらを使って滑りやすい路面での横滑りやスリップ、高速走行状態からの急制動、スラローム走行、危険回避訓練等を行うことができます。ここで厳しい研修を受けた運転手さんの高速バスなら、安心して乗車することができますね。

専用訓練車両の活用でレベルアップ

このような異常走行訓練のほかにも、自社で専用訓練車両を製造して運転手の教育、指導を行っているバス事業者がいくつもあります。例えばジェイアールバス関東は、車両に左右側方カメラ・ミリ波レーダー式車間距離センサー・前後左右動揺計測センサー・側方距離計測センサーを取り付け、そこから得たデータを「e-Dress(イードレス)」と呼ばれる独自の分析システムで解析して運転技術の向上に役立てています。しずてつジャストラインは安全確認行動と運転技術の向上を目指して安全運転訓練車を、富士急行バスも「運転データ集録システム」を搭載した教育訓練車を導入しています。いずれも数値や映像による科学的根拠に基づいたデータを提示できるため、運転手側も納得して指導が受けられるようになっており、その活用は事業者全体のレベルアップに大きく寄与しています。