【高速バスの安全対策】フェイルセーフとフォールトトレランス

2017年08月16日

【高速バスの安全対策】フェイルセーフとフォールトトレランス

【高速バスの安全対策】フェイルセーフとフォールトトレランス

高速バス車両は「機械」ですから“必ず壊れる”といっても過言ではありません。だからこそ走行中に故障が起きても乗客を守れるよう、2つの設計思想で安全対策を行っています。

“機械だから仕方がない”などとは言っていられない

バス車両は数々の部品や機器で組み立てられた「機械」ですから、どんなにメンテナンスしていても故障する可能性があります。それは仕方のないことなのかもしれませんが、走行中に故障が起きれば乗客の命に関わる大事故になるやもしれず、“機械だから仕方がない”などとは言っていられません。このようなことは鉄道や航空機でも同じですよね。他にも産業用・工業用機械を扱う工場などで故障による誤作動が起きれば使用者に危険が迫りますし、使用者自身の誤操作によって事故が起きてしまうことも考えられます。つまり、機械との作業には常に危険がつきまとうのです。そこで安全対策として機械に組み込まれているのが、「フェイルセーフ」と「フォールトトレランス」という設計思想です。

「フェイルセーフ」とは

「フェイルセーフ(fail safe)」とは、機械や装置に障害が発生した際に、常に安全側(事故を発生させない方向)に制御する設計のことです。例えば、倒れると自動的に消火する石油ストーブや電源が切れる電気ストーブ、停電になると全てが赤になる信号機、過剰な電流が流れると切れて電流を遮断するヒューズなどはフェイルセーフですね。鉄道では圧縮空気で作動するブレーキに故障があった場合、非常ブレーキがかかって停車するように設計されています。

高速バス車両ではブレーキがフェイルセーフな設計となっています。高速バス車両の主ブレーキは、油圧に空気圧を加えた「空気油圧複合式(エアオーバーハイドロリックブレーキ)」や、ブレーキを動かすシステムのすべてを空気圧だけで行う「空気圧式(フルエアブレーキ)」であるため、圧縮空気がなくなるという故障が発生すると利かなくなります。しかし、パーキングブレーキには圧縮空気が排出されるとバネが開放されて、強くブレーキシューを押し付ける「マキシブレーキ(ホイールパーキングブレーキ/スプリングブレーキ)」が採用されており、主ブレーキが利かなくなってもマキシブレーキが利いて、車両は安全側である停車となるわけです。

「フォールトトレランス」とは

鉄道やバスにとっての安全側は停車ですが、これが航空機となると停止=墜落の危険性大となってしまいます。このように安全側が明らかでない場合は、機能や性能を縮小してでも動作を維持させる必要があり、その設計が「フォールトトレランス(fault tolerance)」と呼ばれるものです。航空機には複数のエンジンが搭載されており、ひとつが壊れても飛行が継続できるようになっています。金融機関などの基幹コンピュータシステムは停止しないことが求められるため、全てのハードウェアの2重化、バックアップ機器の設置などが行われています。

高速バス車両のフォールトトレランスは、やはりブレーキの設計にあります。主ブレーキはマスターシリンダーからの出力を前輪と後輪の2系統に分離した構造となっていて、各々が独立して作用させることができるのです。片方が故障したとしても、もう片方でカバーできるようになっているんですね。こうすることで故障時でもすべての主ブレーキが利かなくなることを避け、最小限の制動を確保しています。