都バス今昔物語その7(1990年代)

2018年01月12日

都バス今昔物語その7(1990年代)

都バス今昔物語その7(1990年代)

1990年代に入ると都バスの経営状況も安定し始めたことから、21世紀の東京にふさわしい公共交通機関となるべく、10年計画の「長期経営基本方針」を策定してサービス向上を目指しました。

10年計画の「長期経営基本方針」を策定

1967年(昭和42年)、1976年(昭和51年)、1980年(昭和55年)と3次にわたる財政再建計画によって経営状況が改善方向に向いた都バスは、1984年(昭和59年)に7年を計画期間とする「東京都交通事業経営健全化計画」を策定し、長期的な経営の安定を目指しました。そして1991年(平成3年)には21世紀の東京にふさわしい公共交通機関となるべく、2000年(平成12年)度を目標年度とした10年計画の「長期経営基本方針」を策定、さらなるサービス向上を目指します。

路線も地下鉄半蔵門線・南北線の延長や都営大江戸線・りんかい線の全線開業、臨海副都心地区の発展などに応じて再編され、1991年度~2000年度にかけて29系統を新設、18系統を廃止、1系統を運休、2系統を分割、16系統を延長、15系統を短縮しました。

21世紀に向けて人と環境に優しい車両の配備

1980年代までの都バス車両は床面の高さが850mmほどで、出入り口の階段(ステップ)が2段のツーステップバスが標準でした。そのため高齢者や身障者にとっては乗り降りが大変な乗り物だったのですが、1991年に床面高さ600mm以下のワンステップ超低床車である「都市型超低床バス」を特注し、新宿に移転してきた都庁を循環するC・H01 系統に投入します。そこから各路線に「らくらくステップバス」や「新低床バス」などの超低床バスが導入され、1997年(平成9年)度以降は床面高さを350mm程度にした「ノンステップバス」が採用されるようになりました。1979年(昭和54年)度から始まった車両の冷暖房化も1990年(平成2年)度に全車完了となり、快適な車内空間が実現されました。

人に優しい車両の配備と同時に、環境へ配慮した低公害車両への取り組みも本格化します。発進などエンジンの高負荷時に燃料の軽油へLPG(液化石油ガス)をコンピューター制御で添加することで、排気ガス中の黒煙を低減する「LPG併用バス」を1990年度から試験採用、それと同時に「ハイブリッドバス」の開発も進められ、1991年に電気式ハイブリッドバスの日野自動車「HIMR」、1992年(平成4年)に蓄圧式ハイブリッドバスのいすゞ自動車「CHASSE」、三菱ふそう「MBECS」、日産ディーゼル「ERIP」が配備されました。さらに1995年(平成7年)からは、軽油に比べて有害物質の排出が少ない圧縮天然ガスを燃料とする「CNGバス」も投入されていきます。

バスロケシステムの更新と走行環境の改善

車両以外の部分でもサービスの向上が図られました。1970年代後半から導入されたバスロケーションシステムの更新が1999年(平成11年)に行われ、接近表示装置付きのバス停標柱には手前3停留所間のバスの位置を伝えるLED、到着までに要する時間、主要停留所や終点までの所要時間が示されるようになりました。

さらに警視庁との協力によってバス専用および優先レーンの拡大が進められ、走行環境が改善されていきます。1998年(平成10年)には臨海副都心地区を走る虹01系統などにPTPS(Public Transportation Priority System:公共車両優先システム)が導入され、信号機の青の延長や赤の短縮を行うことで交差点通過をスムーズにしました。虹01系統の所要時間を7%も短縮させたPTPSは、翌1999年に東98系統の等々力六丁目~目黒駅前間にも導入されています。

様々な乗車券サービスの提供

都バスの運賃支払は長らく現金オンリーでしたが、1993年(平成5年)11月に磁気カード型プリペイド乗車券の「Tカード」を導入、発売しました。これが翌1994年(平成6年)10月になると、神奈川県と東京都区内均一運賃区間の民営バスでも利用できる「バス共通カード」の販売に切り替えられます。このバス共通カードは東京都多摩地区、埼玉県、千葉県にも順次導入され、関東の広域で共通化されていきました。

1977年(昭和52年)に都営交通の全路線に乗れるという「都電・都バス・都営地下鉄共通一日乗車券(現:都営まるごときっぷ)」が発売されましたが、1997年の夏休み期間には都バスのみ利用できる「都バス一日乗車券」が設定され、翌年からは車内販売も開始されます。定額定期券も車内で購入することが可能になり、わざわざ営業所の窓口まで足を運ぶ必要がなくなりました。また、2000年になると都営地下鉄大江戸線全線開業に伴う路線再編が実行されたことから、都営地下鉄から都バスへ乗り継ぐ際に100円が割り引かれる「都バス専用乗継割引カード」も発売されました(2010年発売/利用ともに終了)。