京都市営バスの行先表示はなぜLED化されないのか

2018年02月09日

京都市営バスの行先表示はなぜLED化されないのか

京都市営バスの行先表示はなぜLED化されないのか

路線バスの行き先や系統番号などを知らせてくれる「行先表示」は、今やLEDが主流となりました。しかし、京都市営バスはなぜかいまだにアナログな方向幕を使っています。その理由をお話しましょう。

今どきの行先表示は「LED」が主流です

一般的な路線バスの前面・後面・側面には、そのバスの行き先や運行区間、系統番号などを掲載した「行先表示」があります。これのおかげで私たちは、やって来たバスが自分の目的地に行くバスなのかどうなのかを判断することができます。とても大事な装置ですね。

この行先表示ですが、1990年代まではアナログ式の「方向幕」が主流でした。複数の行き先や系統番号などを列記した幕を上下2つのローラーで巻取れるようになっていて、スイッチ操作でクルクルと回転させて表示を切り替えるタイプです。ただ、列記してある内容に変更があると、その部分を手作業で修正したり、全取替する必要がありました。さらに清掃や機械部分の補修もマメに行わなければならず、以外と手間がかかったのです。

そこで現在はデジタル式の「LED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)」が主流となっています。LEDであれば方向幕よりも圧倒的に多く情報を積み込めますし、内容の変更があってもデータの修正は容易、メンテナンスコストも大幅に減少、表示切替も瞬時で完了しますから良いことずくめです。そのため新しい車両の行先表示はすべてLEDと考えて良いですし、方向幕だった車両もLEDに交換されています。もはや方向幕は過去の遺物として消え去っていくのでしょう...。

なんと「京都市営バス」はいまだに方向幕のまま

ところがところが、いまだに行先表示が方向幕のままのバス会社があるのです。それも数台の車両で営業している小規模事業者ではありませんよ。2017年(平成29年)3月18日現在で808台もの車両を有する大規模事業者であり、日本の観光地として世界にも名高い京都市の主要公共交通機関である「京都市営バス(京都交通局)」がそうなんです。

これはちょっと驚きですよね。車両数に加えて路線数も非常に多いですから、運用面でもコスト面でもLEDの方がまったくもって有利なはずです。失礼ながら初期投資するお金がない?いえいえそんなこともありません。実は2010年(平成22年)度から2012年(平成24年)度にかけてLED表示を導入したのですが、翌2013年(平成25年)の新車から再び方向幕に戻されているのです。いったいなぜ京都市営バスの行先表示はLED化されないのでしょうか?

そこにあるのは複雑な配色ルール

これにはちゃんとした理由があるのです。京都市営バスは行先表示に独自のルールを設けていて、表示右側の系統番号部分の地色がオレンジ・青・白の3種類に色分けされています。そして各色には、

「オレンジ」=市内循環/均一料金
「青」=京都市中心部の均一区間
「白」=郊外へ向かう均一区間外

という意味が与えられているんですね。

さらに京都の特徴である碁盤の目の“通り”を活かして、市内を南北に貫く6本の幹線道路にラインカラーが設定されています。これを車両やバス停のサインデザイン(人々の行動のよりどころとなる情報を具体的な形で表したデザイン)に反映させて、京都を訪れる国内および国外からの観光客にも直感的な判断ができるようにしているわけです。ちなみに各通りの色分けは以下のようになっています。

「西大路通」=黄色(金閣寺のイメージ)
「堀川通」=緑(二条城の緑のイメージ)
「河原町通」=水色(鴨川のイメージ)
「東山通」=赤(八坂神社・平安神宮のイメージ)
「白川通」=白(白川・銀閣寺のイメージ)
「千本通・大宮通」=紫(紫野のイメージ)

それでも近い将来はLED化される可能性大

このように京都市交通局は「わかりやすい市バス」の実現を目標として、色によって旅客案内情報を視覚に訴えています。LEDによる行先表示の多くは比較的安価な黄色(オレンジ色)の“単色”であるため、この複雑な配色ルールに対応することが難しく、だから京都市営バスはいまだ行先表示に方向幕を使用しているのです。

それでも青色LEDの量産化に伴って、2014年(平成26年)12月に大手バス・鉄道用電装機器メーカーのレシップ株式会社から、路線バス用のカラーLED式行先表示器の開発が発表されました。今後、技術の進歩によって京都市営バスの行先表示がより分かりやすく、より視認性の高いLEDに変わるかもしれません。その日を楽しみに待つことにしましょう。