乗務員1名で複数台のバスを運行!? 今、注目が集まる「連節バス」

2018年02月14日

乗務員1名で複数台のバスを運行!? 今、注目が集まる「連節バス」

乗務員1名で複数台のバスを運行!? 今、注目が集まる「連節バス」

鉄道や航空機に比べて圧倒的に乗車定員数が少ないことから、路線バスは大量輸送に向かない乗り物とされます。しかし、乗務員1人で2台分の乗客を輸送する「連節バス」がその問題を解決するかもしれません。

路線バスは増便するとコスト面で問題が

路線バスは公共交通機関の中でも機動性に優れ、地域に密着した運行が可能な乗り物です。なんてったって道路を走りますから線路や駅や空港などは必要なく、利用者のニーズに応えた路線設定を容易に行うことができます。その反面、鉄道や航空機に比べて圧倒的に乗車定員数が少ないため、繁忙路線ともなれば増便で対応せざるを得ません。そうなると増便する分だけの車両と、それらを運転する乗務員の数を揃える必要性が生じます。これはコスト的に問題ですよね。さらに多くの場合で増便するのは朝夕のラッシュ時だけですから、ますますコスト効率は悪くなるでしょう。最近では乗務員の人手不足によって、増便したくても増便できないというバス会社もあるそうです。

「連節バス」なら乗務員1人で2倍の乗客を運べます

この「車両1台につき乗務員1人が必要」というのが路線バスの根本的な問題点で、大量輸送をしようとすればコストが増大するというジレンマが常につきまといます。でもこれは「乗務員1人で複数台のバスを運行」すれば解決しますよね。えっ?そんなの無理にきまってるですって?それがそうでもないのですよ。乗務員1人で2台分の乗客を輸送する「連節バス」に今、注目が集まっています。

連節バスとは「車両が2連以上につながっているバス」のことです。通常の車両が追加車両(客車)を牽引する形ですので、終戦直後に活躍したトレーラーバスと似ているのですが、連節部分が幌(ほろ)で覆われているため車両間を自由に行き来することができます。2両編成の電車をイメージしてもらえばOKですね。1つの連節で2つの車両をつないだ「1連節バス」の場合、その全長は約18m、乗客定員は約130名になります。これを使えばワンマン運行で2台分の乗客を輸送できるのですよ。

ネックは日本の車両制限の厳しさ

でも実際に連節バスを見かけたことのある方は少ないと思います。なぜなら日本は先進諸国の中でも車両の大きさなどの制限が厳しく、全長が12m以下でないと基本的に道路を走ることができません。そこで連節バスの運行に際しては、使用路線の限定と走行レーンおよび経路の厳守を条件として、道路運送法に基づく国土交通省運輸局の特例措置を受ける必要があるのです。さらに非常時の迂回路など細部においても、実車による検証と認可を得なければなりません。これだけの苦労がある上に車両価格は約5,600万円(ドイツ・ネオプラン社製ノンステップ連節バスの場合)と、通常のノンステップ路線バスの2倍以上します。そう簡単に導入できないのも当然かもしれませんね。

それでも導入は全国各地で進んでいます

それでもその輸送力の高さによって、近年では全国各地で連節バスの導入が進んできています。2017年(平成29年)5月現在における導入状況は以下の通りです。

● 京成バス
1998年(平成10年)よりボルボ製B10Mシャーシと富士重工ボディを組み合わせた車両が運行開始。現在は「シーガル幕張」の愛称を持つメルセデス・ベンツ製シターロGが、幕張本郷駅~幕張メッセ・千葉マリンスタジアムおよび海浜幕張駅~イオンモール幕張新都心の2路線で運行中。

● 神奈川中央交通(神奈中バス)
2005年(平成17年)にドイツ・ネオプラン製セントロライナー、愛称「ツインライナー」が、湘25系統(湘南台駅~慶応大学)で運行開始。2007年(平成19年)からはメルセデス・ベンツ製シターロGが厚08系統(松蓮寺~厚木バスセンター)、厚67系統(厚木バスセンター~神奈川工科大学)、厚105系統(厚木バスセンター~厚木アクスト)で運行。2012年(平成24年)には町13系統(町田バスセンター~山崎団地センター)にも導入。

● JRバス関東
2011年(平成23年)にJR東日本総合研修センターへの送迎バスとして、元京成バスのボルボ製B10Mが運行。特定輸送車のため一般利用はできない。

● 新潟交通
2015年(平成27年)9月よりスカニア・ボルグレン製車両、愛称「ツインくる」が、新潟駅~青山を結ぶ萬代橋ラインで運行開始。

● 岐阜乗合自動車(岐阜バス)
メルセデス・ベンツ製シターロGが「清流ライナー」の愛称で、2011年に岐阜駅-~岐阜大学・病院で運行開始。2012年には清流ライナー市内ループ線、2014年(平成26年)には清流ライナー下岩崎線にも導入。

● 近江鉄道
2016年(平成28年)にメルセデス・ベンツ製シターロGが、「JOINT LINER」の愛称で南草津駅と立命館大学を結ぶ路線において運行開始。

● 神姫バス
2013年(平成25年)4月よりメルセデス・ベンツ製シターロGが、新三田駅および三田駅前と関西学院大学三田キャンパスやウッディタウン、テクノパークを結ぶ路線で運行開始。愛称は「オレンジアロー連 SANDA号」。

● 西日本鉄道(西鉄バス)
2016年より博多港国際ターミナル~天神、博多港国際ターミナル~博多駅を結ぶ2路線で運行開始。車両はスカニア・ボルグレン製で、愛称は「Fukuoka BRT」。

● 南海バス
2017年(平成29年)4月より関西国際空港第2旅客ターミナル線で運行開始。車両は日本の排出ガス最新規制と同等の欧州排出ガス規制「EURO6」をクリアする環境性能を備えた最新型のメルセデス・ベンツ製シターロG。

● 奈良交通
関西文化学術研究都市での渋滞緩和対策として、2017年秋にスカニア・ボルグレン製車両が近鉄線新祝園駅とJR学研都市線祝園駅を発着する路線バスに導入される予定。

いかがでしょうか。2013年(平成25年)4月時点で連節バスを導入していたのは、京成バス、神奈中バス、岐阜バス、神姫バスの4社だけでしたが、ここ数年でどんどん増えてきています。また、2019年にはいすゞ自動車と日野自動車が共同開発で、国産の新型連節バスを発売する予定になっています。近いうちにあなたの街にも連節バスが走るようになるかもしれませんね。