ローカルバス路線紹介・・・「遠山郷線(信南交通)」

2018年05月30日

ローカルバス路線紹介・・・「遠山郷線(信南交通)」

ローカルバス路線紹介・・・「遠山郷線(信南交通)」

全国各地のローカルバス路線にスポットを当てていくこのシリーズ、今回は長野県の信南交通が運行する「遠山郷線」です。南信地方最大の都市である飯田市内と山と渓谷に囲まれた秘境の里を結びます。

そこには“日本のチロル”がある

長野県の南端近く、天竜川の支流である遠山川に沿って広がる山と渓谷に囲まれた秘境の里。それが「遠山郷(とおやまごう)」です。中でも南アルプスから伸びる標高800〜1,000mの傾斜約30度、最大斜度38度の南東斜面に民家や耕地が点在する「下栗の里」は、ヨーロッパ中部オーストリアの美しい高原地帯として名高いチロル地方になぞらえて“日本のチロル”とも呼ばれています。他にも“天空の里”や“日本のマチュピチュ”という呼び名もあるんですよ。毎年12月には800年の伝統を持つ神事であり、国の重要無形民俗文化財に指定されている「霜月祭り」が催され、日本の原風景が残る山里として一度は訪れてみたい絶景の地です。

ルート途中にある長大な「矢筈トンネル」

この美しくも平和な山村に向かう路線バスが、長野県の信南交通株式会社(本社:長野県飯田市)が運行する「遠山郷線」です。起点は飯田高校前バス停もしくは飯田駅前バス停で、JR飯田線の鼎(かなえ)駅前や市立病院などを経由しながら飯田市街地を抜け、農村地帯を通り、雄大な山地を上り始めます。県道251号線に入って近藤商店前バス停を過ぎると、ここから約20分間、バスはノンストップで進んでいきます。三遠南信自動車道小川路峠道路(国道474号)の喬木(たかぎ)ICから全長4,176mの矢筈(やはず)トンネルを走り抜け、トンネルを抜けた先で国道152号線と合流し、ようやく次の小沢橋バス停となります。

矢筈トンネルが遠山郷方面と飯田市内を直結した

伊那山地を東西に貫く矢筈トンネルは1994年(平成6年)3月に開通したのですが、それ以前は県道251号線の赤石トンネルだけが飯田市方面と遠山郷を結ぶルートでした。しかし、トンネルのある赤石峠へは落石が当たり前の危険な道を走らなければなりませんでしたし、赤石トンネル自体が狭く、冬季閉鎖も十分に考えられることから、路線バスの通行は不可能だったのです。当時、遠山郷からバスで行けたのは小沢橋バス停のひとつ手前の程野(ほどの)バス停までで、伊那山地を越えて飯田市方面へ行くことはできませんでした。

矢筈トンネルが開通したことで遠山郷方面と飯田市内は直結され、飯田市中心部にある病院や高度医療施設への通院および患者の移送、飯田市中心部へのバス通学などがストレスなく行えるようになったのです。もちろん観光のために飯田駅から遠山郷へ向かうのも容易になったわけですね。

下栗の里へは上町バス停からタクシーで15分

矢筈トンネルを抜けたバスは国道152号線を南下して、遠山郷を目指します。国道152号線は旧秋葉街道とも呼ばれ、戦国武将の武田信玄が上洛を目指して進軍した街道でもあります。下栗の里へ行く場合は小沢橋バス停から15分ほどで着く上町バス停で降車し、そこからタクシーを利用してください(要事前予約:天竜観光タクシー)。

上町バス停から10分ほどの木沢バス停付近には、昭和40年代に廃止となった遠山森林鉄道の機関車と客車が復元、移設されている多目的施設の「梨元ていしゃば」があります。そして遠山郷線の終点は和田バス停もしくはかぐらの湯バス停。飯田高校前バス停~和田バス停までの所要時間は約1時間50分、飯田駅前バス停~かぐらの湯バス停までは約1時間40分で到着します。平日は上り下りとも1日3便、土日祝日は上下1日2便の運行です。