ローカルバス路線紹介・・・「八ツ森線(仙台市営バス)」

2018年07月11日

ローカルバス路線紹介・・・「八ツ森線(仙台市営バス)」

ローカルバス路線紹介・・・「八ツ森線(仙台市営バス)」

全国各地のローカルバス路線にスポットを当てていくこのシリーズ、今回は宮城県の仙台市営バスが運行する「八ツ森線」をご紹介します。終点付近には鉄道ファンに知られた廃秘境駅があるんですよ。

経営状態の厳しい仙台市営バス

「仙台市」は宮城県の県庁所在地であり、都市部周囲には広瀬川や青葉山などの豊かな自然、中心部にも街路樹などの緑があふれることから、“杜の都”と称される美しい街です。人口108万人を誇る東北地方最大の政令指定都市でもあり、そこに暮らす人々の日常生活の足となる公営交通を運営するのが仙台市交通局、その中の路線バスが仙台市営バスになります。

この仙台市営バスですが、2015年(平成27年)に仙台市営地下鉄東西線が開業したことで、それまで収益を上げていた東北大学および宮城教育大学への通学路線が大幅に縮小されるなど、経営状態はかなり厳しくなっています。2016年度では全46路線のすべてで赤字を計上しており、今後は需要動向に応じた便数調整を段階的に行うことが検討されています。

ワースト赤字路線の「八ツ森線」

今回ご紹介する「八ツ森線」は、仙台市青葉区上愛子の仙台市営バス白沢出張所構内にある白沢車庫前バス停と、同じく青葉区の八ツ森バス停間を所要時間約20分で結ぶ路線です。宮城県庁や仙台駅も所在する青葉区ですが、西側は奥羽山脈に接しているほど東西に広く、白沢出張所も市中心部から西側に遠く離れています(仙台駅前から市バスで約50分)。ですから八ツ森線もルート後半は100万都市とは思えないローカルエリアを走行していきます。

そんなこともあって、八ツ森線は仙台市営バスすべての赤字路線の中でもワースト、赤字路線中の赤字路線として君臨しており、その営業係数(100円の営業収入を得るのにどれだけの営業費用を要するかを表す指数)たるや驚きの1826です。これは100円を稼ぐのに1826円かかるということを意味していますから、今後が心配になってしまいますよね。白沢車庫前バス停から出発する1日の運行本数は、63系統八ツ森経由作並駅行きが早朝7時台の1本、65系統八ツ森行きが夕方17時台の1本、合わせて2本だけで、起点から八ツ森までの運賃は560円です。

赤レンガが美しいニッカウヰスキー仙台工場

白沢車庫前バス停を出発すると、バスは国道48号線を北西の山形方向へと進みます。しばらくは住宅地が続くのですが、JR仙山線の熊ヶ根駅前を過ぎたあたりから両側に山が迫り始めます。熊ヶ根駅前バス停から5つ先のニッカ橋バス停には、“日本のウイスキーの父”と称される竹鶴政孝氏が北海道余市の次に手がけた「ニッカウヰスキー仙台工場 宮城峡蒸留所 」があり、緑豊かな自然景観を活かした約20ヘクタールの敷地に、赤レンガの美しくも重厚な建物が点在しています。要予約ですが、ガイド付きの蒸溜所見学(無料)も毎日実施されていますよ。

伝説の廃秘境駅「JR仙山線 八ツ森駅」

ニッカ橋を左折すると道の両側には畑や林が広がり、人気もまばらになってきます。ここから終点の八ツ森バス停まではフリー乗降区間です。八ツ森バス停の近くには、鉄道ファンの間で超一級の秘境駅とされていた仙山線の臨時駅で、今は廃駅となった「八ツ森駅」があります。八ツ森駅は付近にあったスキー場の利用者のために仮乗降場として設けられた駅でしたが、そのスキー場は1970年(昭和45年)に閉鎖され、春と秋にわずかな臨時列車が止まるだけになりました。それも2002年(平成14年)12月が最後となり、その後は仙山線の車内から見ることはできるけれども降りることはできない正真正銘の秘境駅となったわけです。2014年(平成26年)3月15日に廃駅となり、現在は階段等の一部の痕跡を残すのみとなっています。

八ツ森バス停から八ツ森駅までは、徒歩で山道を歩いていかなければなりません。そしてこの付近は仙台市青葉区であるにもかかわらず、ツキノワグマやニホンザルが出没する地域でもあります。伝説の廃秘境駅を訪れてみたいと思う鉄道ファンの方は十分に気をつけてくださいね。