ローカルバス路線紹介・・・「花背線(京都バス)」

2018年07月25日

ローカルバス路線紹介・・・「花背線(京都バス)」

ローカルバス路線紹介・・・「花背線(京都バス)」

全国各地のローカルバス路線にスポットを当てていくこのシリーズ、今回は京都府の京都バスが運行する「花背線」をご紹介します。京都の様々な顔を見ることができる左京区の長距離路線ですよ。

京都市も北部は驚きの山間地

平安京の昔から“千年の都”として日本の政治と文化の中心であった「京都市」。その名を聞けば、数々の文化財や史跡が街を彩り、日本古来の雅な情景にあふれた美しい観光地を誰もが思い浮かべます。でもこれは京都市の中心部(南部)のイメージであって、北部となると話がちょっと変わってきます。

京都市の東北部を占める左京区は南北に細長い形状をしており、区の最北端部のほんの5kmほど先は北陸地方の福井県です。そして左京区北部地域は標高600mから800mの山岳が林立する丹波高地となりますから、普通の観光客なら「ここは本当に京都なの?」と口走ってしまうほどの山間地が広がります。さらに丹波高地は豪雪地帯のため、京都市内でありながら冬季は2mを超える積雪となることも珍しくありません。

左京区の南端と北端近くを結ぶ「花背線」

今回ご紹介する京都バス(本社:京都府京都市右京区)運行の32系統、通称「花背(はなせ)線」は、この左京区の南端と北端近くを結ぶバス路線です。南端の起点は京都御所や京都大学の近くにある叡山電鉄および京阪電鉄の出町柳(でまちやなぎ)駅前バス停で、そこから北に進み、北端の終点は山間部の広河原バス停となります。その路線距離は39.1km、所要時間は2時間弱、起点から終点までの運賃は1,100円で、出町柳駅前からは平日・土日祝ともに1日3本が運行されています。

花背線の路線距離は非常に長いのですが、京都バス運行路線の中にはこれを上回るものがあり、No.1ではありません。ところが所要時間は最長です。つまりこれは、花背線が“トンデモない道”を走行することを意味しているわけですね。32系統花背線は狭隘道路の区間がとても長く、さらには曲がりくねった峠道がルート上に存在しており、それを市街地で使われるのと同じ全長9m、車幅2.3mの中型バス車両で走破していきます。それはもう大変な路線なのですよ。

出町柳駅前から京都市街最北エリアの鞍馬へ

出町柳駅前バス停を出発したバスは高野川沿いを北上して左折、京都市営地下鉄烏丸線の北大路駅を経由して再び北上します。このあたりまでは大通りを走行するごく普通の路線バスの体なのですが、上賀茂神社の手前で鴨川を渡り、京都産業大学前バス停を過ぎると両側に民家の並ぶ1車線の狭隘道路が断続的に続くようになります。

二軒茶屋バス停からは叡山電車と並行して北へ進み、市原駅前、二の瀬、貴船口などの叡山電車駅を経て、牛若丸(後の源義経)が天狗と修行した鞍馬寺の目の前にある鞍馬バス停に到着します。門前町として、また若狭や丹波に通じる中継点として栄えた鞍馬には古い街並みが今も残り、気温も市街地より5度ほど低くなるため、夏には避暑地としても人気があります。貴船での川床料理も有名ですね。そしてここから花背線最大の見せ場となる峠越えが始まります。


“酷道”で花脊峠を越え京都市最北端のバス停へ

鞍馬の街を過ぎると風景は一気に変わり、杉木立ちの狭く薄暗い道が続きます。鞍馬バス停から2つ先の鞍馬温泉バス停を出ると自由乗降区間となって、バス停以外の場所でも乗り降りが可能になります。すると屋根に設置されたスピーカーから音楽が流れるようになり、車外にバスの接近を知らせます。

花脊峠を越える国道477号はどこも曲がりくねり、その名の通りのヘアピンカーブが連続します。道は狭く、急勾配で荒れた路面は、国道ではなく“酷道”と言われるほどです。軽自動車で走るのも大変なこの道を巨大なバス車両で走るのですから、乗客にとってはスリリングでエキサイティングな路線ですが、運転手さんは相当に神経をすり減らしてしまうことでしょう。

無事に峠を越えても安心はできず、まだまだ狭隘道路が続きます。神業のようなテクニックでガードレールや樹木などをかわしながらバスは進み、ようやく終点の広河原バス停に到着します。実はここが京都市最北端のバス停で、近くには京都市唯一のスキー場である広河原スキー場があります。小規模で華やかさはありませんが、スキー板やスノーボードなどのレンタルも行っています。つまり花背線は市街地から1本で行けるスキーバスでもあるわけですね。様々な顔を持つ京都バス花背線、ぜひ一度乗ってみてください。