環境への優しさは人への優しさ!開発が進む「低公害バス車両」

2018年09月12日

環境への優しさは人への優しさ!開発が進む「低公害バス車両」

環境への優しさは人への優しさ!開発が進む「低公害バス車両」

公共交通機関として早朝から深夜まで活躍する路線バスだからこそ、環境への優しさが求められる時代となっています。人への優しさにもつながる「低公害バス車両」の現状についてお話します。

最近のディーゼルエンジンはクリーン!

総重量が10トンを超える車体に何十人もの利用客を乗せて営業運行する路線バス。その動力源となるエンジンには“低い回転数から大きなパワーを生み出せる”ことが求められますし、営業運行を支えるために高い信頼性と耐久性、そして経済性が必要です。「ディーゼルエンジン」はその要求をしっかりと満たしてくれるため、バスには昔から軽油を燃料としたディーゼルエンジンが使われてきました。

ディーゼルエンジンには走行中に数々の環境汚染物質を排出してしまう難点があったのですが、最近のディーゼルエンジンは高圧燃料噴射装置やターボチャージャーなどの過給器と、それぞれに対応する電子制御技術を進化させ、そこに「DPF」「DPR」「DPD」などと呼ばれるディーゼル微粒子捕集フィルターを搭載することで、排気ガス中の有害物質は著しく除去できるようになっています。

それでもバス車両製造メーカーはこれに満足せず、さらに環境負荷の小さな「低公害バス車両」の開発を行っていますし、全国各地のバス会社も積極的に新しい動力システムや燃料システムの車両を導入しています。以下に現在の低公害バス車両事情をご紹介してみましょう。

導入が進む「ハイブリッドバス」

東京都など排ガス規制の厳しい大都市の路線バスや、周辺の自然環境に配慮が必要な山岳観光地などを中心に導入が進んでいるのが、普通乗用車でもおなじみの動力システムとなっている、エンジンとモーターを組み合わせた「ハイブリッドバス」です。

バスの場合も普通乗用車と同様に、負荷がかかる発進時および加速時にモーターがディーゼルエンジンをサポートし、制動時のエネルギーを電気に変えてバッテリーに蓄えていく「電池式ハイブリッドバス」が一般的です。それに加えて、発電と充電のためだけにディーゼルエンジンを動かし、走行は100%モーターで行う「シリーズ式ハイブリッドバス」というシステムの車両もあります。

短距離路線で期待大の「電気バス」

エンジンを使わずにモーターだけで走行する「電気バス(EVバス)」も走り始めています。普通乗用車よりも遥かに車体の大きなバスを完全電動化するには大量のバッテリーが必要になってしまうのですが、短距離路線に用いれば少ないバッテリー搭載でも充電回数を増やすことでクリアできます。

2015年(平成27年)から川崎鶴見臨港バスの川崎病院線に導入された電気バスは、東芝製リチウムイオン電池「SCiBTM」を57.2kWh搭載して約40㎞の航続距離を確保しました。これを1日3回の急速充電で、15周の運行頻度を実現しています。さらに充電作業を簡素化できるよう、充電ケーブルの抜き差しを必要としない「ワイヤレス給電」の技術も開発されています。

新たな燃料システムはミドリムシ!?

燃料システムへの取り組みはどうなっているでしょうか。少し前までは排気ガス中の環境汚染物質が大幅に減少し、黒煙と硫黄酸化物は全く排出しなくなる圧縮天然ガス(Compressed Natural Gas)を燃料とした「CNGバス」が脚光を浴びていましたが、コスト面に問題があることから、現在はハイブリッドバスに置き換えられることが多くなっています。

最近注目されている代替燃料は、驚かれるかもしれませんが「ミドリムシ(ユーグレナ)」なのです。ミドリムシは植物と動物両方の性質をもつ藻の仲間で、豊富な栄養素を持つことから健康食品としても知られていますが、ある条件のもとに育てると、その体内に軽油に近い油が生成されます。これを燃料として走るバイオディーゼルバスの開発プロジェクトが、いすゞ自動車と株式会社ユーグレナによって進んでおり、すでに実用実験も始まっています。

そして“究極のクリーンエネルギー車”として期待されているのが、水素と酸素を化学反応させて電気と水(水蒸気)を作り出す「燃料電池バス」です。走行時に発生するのは水蒸気だけですから、一酸化炭素などの大気汚染物質はまったく排出されません。さらにエネルギー効率は高く、エンジンやタービンの必要がないため騒音や振動も大幅に低減できます。コスト面と水素を供給するインフラ整備に問題を抱えていますが、2017年(平成29年)3月より東京都営バスはトヨタ自動車が開発・市販化した燃料電池バス2両を導入し、路線バスとしての営業運行を始めています。