なぜ「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」はゴールが難しいのか

2018年10月17日

なぜ「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」はゴールが難しいのか

なぜ「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」はゴールが難しいのか

旅人である出演者の掛け合いも楽しいテレビ東京系列の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」。路線バスだけで目的地へ移動する番組ですが、ゴールできない場合も多いのです。その理由をお話します。

現在はシリーズ2となった人気番組

皆さんはテレビ東京系列で年に数回放送される「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」をご覧になったことがありますでしょうか。俳優の太川陽介さんと漫画家の蛭子能収さんがコンビを組んだシリーズ1は、2007年(平成19年)10月から2017年(平成29年)1月まで全25回が放送され、“しっかり者の太川さん”と“マイペースの蛭子さん”のアンバランスな掛け合いが大きな話題となりました。2017年3月からはシリーズ2の「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」となって、俳優の田中要次さんと作家の羽田圭介さんが2代目の旅人を務めています。

ガチンコ番組だからこそ3回に1回は失敗

この番組が人気を集めている理由は、もちろん出演者のキャラクターによるところも大きいのですが、3泊4日で指定の目的地にローカル路線バスのみで移動し、そのルートも撮影交渉もすべて自分たちで行わなければならないという、一般的な旅番組とは大きく異なる企画内容にあります。観光などを楽しむよりも、とにかく制限時間内に到着することが第一なのですから。

そのため、シリーズ1では25回中8回が未到着の失敗という結果となり、シリーズ2では2017年に放送された全4回中、半分の2回が失敗となっています。トータルでは29戦して19勝10敗ですから、この番組のガチンコ具合が分かりますよね。でも、なぜこんなに「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」はゴールが難しいのでしょうか?

“バスがなければひたすら歩く”のがルールだから

それは“県境を越える路線バスが意外と少ない”ためです。番組をご覧になったことのある方なら、マドンナの女優さんを含めた出演者一行が、夏は滝のような汗を流しながら、冬は寒さに震えながら隣の県のバス停まで歩いて行くシーンを見たことがあると思います。シリーズ1の放送第4回目までは、バス路線自体が存在しなければタクシーの利用が可能だったのですが、第5回目から禁止となり、“バスがなければひたすら歩く”というルールとなっています。

県境は山間の峠に引かれていることも多く、その山道を歩いて移動することとなれば時間のロスは著しく、体力の消耗も激しくなり、ゴールにたどり着けなくなるわけです。2017年に旅人が変わったのも、このガチなルールに70歳の古希を迎える蛭子さんの対応が難しくなってきたからなのかもしれません。

なぜ県境を越えるバス路線が少ないのか

基本的に県境というものは古くから文化圏や商圏の境目に設定されているもので、根本的に人々が頻繁に行き交う場所ではありません。交流があればそこに境を引く必要はないのです。もし県境を越えて移動するようなことがあれば、現代の地方部では一家に2台~3台の自家用車があるのも珍しくありませんので、それを使えば良いことになります。さらに高速道路の整備も進んでいますから、高速バスを利用しての都市間移動も可能です。もちろん県をまたぐ都市間には鉄道も走っていることでしょう。

基本的に路線バスというものは、鉄道駅から自宅や公共施設を結ぶように設定され、そこに需要が生じています。鉄道と並行するように設定しても、利用者の多くはバスではなく鉄道を選ぶと思われます。そんなことから需要の少ない地方部の県境を越える路線バスは徐々に廃止され、そこは「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」にとってゴールを阻む“鬼門”となっているのです。