鉄道とバスのいいとこ取り!「DMV」は赤字鉄道の廃線危機を救えるか?

2018年10月24日

鉄道とバスのいいとこ取り!「DMV」は赤字鉄道の廃線危機を救えるか?

鉄道とバスのいいとこ取り!「DMV」は赤字鉄道の廃線危機を救えるか?

JR北海道が主体となって開発された「DMV」。将来的に利用価値の高い乗り物となるかもしれないこの新しい乗り物は、赤字にあえぐ地方鉄道路線の救世主となる可能性を秘めています。

バスと鉄道双方のメリットを兼ね備える「DMV」

今回は「DMV」についてのお話です。DMVとは「Dual Mode Vehicle(デュアル・モード・ビークル)」の略称で、一般的にはまだあまり知られてはいませんが「列車が走るための線路と自動車が走るための道路の両方を走ることができる車両」のことです。

DMVはエンジンの上に運転席があるキャブオーバーのマイクロバスをベースにタイヤと金属車輪の両方を備えており、道路を走る時には車輪を持ち上げて通常のバスと同様にタイヤで走行します。そして線路を走る時には前輪タイヤを持ち上げ、その前に格納されていた金属車輪を降ろし、後輪タイヤを動力伝達用の駆動輪として線路に接地させて走るのです。外見はバスそのものですが、バスのメリットと鉄道のメリットを兼ね備えているわけですね。

JR北海道が主体となって2004年から試験走行

このDMV、国内ではJR北海道と建設機械メーカーの日本除雪機製作所が共同で開発しました。2004年(平成16年)にマイクロバスを改造した定員34名の第1次試作車「サラマンダー901」を日高本線で試験走行させ、2005年(平成17年)には2両を背中合わせに連結できる新型の第2次試作車「サラマンダー911・912」を、実用化を前提として石北本線北見駅~西女満別駅~女満別空港間において走らせました。

2006年(平成18年)および2007年(平成19年)には静岡県富士市の岳南鉄道(現:岳南電車)岳南線において走行試験を行い、2008年(平成20年)には熊本県の南阿蘇鉄道で、2009年(平成21年)には天竜浜名湖鉄道でも試験運行が行われました。トヨタ自動車と日野自動車も2008年に第3次試作車の「ダーウィン920」を製作します。

赤字路線のコスト削減が目的だったのだが...

JR北海道によるDMVの導入は、利用の少ない赤字路線のコストを削減する目的で計画されました。鉄道会社で利益を上げるために必要な“キロ当たり2,000人以上の利用者”を下回る路線が全体の6割を占めるJR北海道では、運営コストやメンテナンスコスト、さらには車両導入コストが大幅に削減でき、閑散区間の鉄道線路を活用しながら住宅地や目的施設への巡回など、多様なルートを展開できるDMVに活路を見出そうとしたのです。

しかし、1車両あたりの定員の少なさや車体が軽すぎるために従来の鉄道信号システムが使えないこと、それに加えて運転士が鉄道車両用の動力車運転免許とバス用の大型第二種運転免許を取得しなければならないことなど別の部分でのコスト増が問題点となり、JR北海道は安全対策と北海道新幹線に経営資源を集中させるとして2014年(平成26年)にDMVの導入断念を発表します。そして翌2015年(平成27年)には、これ以上開発に資金を投入し続けることができないとの判断から実用化自体も断念することとなりました。

徳島県で2020年までに導入決定

それでも、かねてからDMVの導入を検討していた徳島県の阿佐海岸鉄道が、2020年までにDMVを導入することを決定しました。2017年(平成29年)2月に関係自治体などからなる「阿佐東線DMV導入協議会」で導入計画が承認されたのです。

阿佐海岸鉄道の運行計画では、JR四国牟岐線 阿波海南駅~阿佐海岸鉄道阿佐東線 甲浦駅間を鉄道として走り、甲浦駅に地上の道路へ下りるスロープを新設、そこから一般道路をバスとして室戸岬まで走ることとなっています。DMVを観光資源として活用しながら、室戸岬方面への観光路線も開拓されることでしょう。すでにDMV運転士の募集もされています。

様々な問題点はあるものの、将来的には利用価値の高い乗り物となる可能性が十分にあるDMV。いつの日にか、廃線危機に直面する地方鉄道路線の救世主となるかもしれませんね。